リッティ James Litty/

〔USA〕会計機の考案者・事業家。

機械装置が好きだったリッティは1882年にヨーロッパに渡ったとき、客船の機関室を見学した。彼はボイラーの熱がタービンを回し、スクリューのシャフトが勢いよく回転するところを見て感激した。機械というものであれば何にでも興味を持った彼は、そのときスクリューの回転数を記録する装置を発見した。これがヒントになった。シャフトが一定の速度で回転する。その回転を歯車に伝える。小さな歯車が百回転したら、大きな歯車が一回転する。

タービンの回転数をカウントする装置を見て帰国後、自宅のガレージであり合わせの部品を集めてコインを自動的に数える機械を考案した。

1ドル54セントを受け取ったら、ドルのキーを1回、50セントのキーを1回、1セントのキーを4回叩く。そうすると、装置の中に仕組んだ紙のロールに穴が打たれる。アイデアはよかった。だが商売にならなかった。リッティ兄弟はパテントをエッカートという知り合いに売り、エッカートはナショナル・マニュファクチャリング・カンパニー(NMC)という会社にそれを転売した。NMC社はすぐさま製品化したが、思いのほか売れなかった。1883年までに販売されたリッティの鍵盤式計算機は359台だった。